30代、恋人なし、固まっている「私だけの常識」

職場の同僚(30代女性・独身)が合コンに行ってきたのです。
友達に誘われ、頭数合わせだったので、行く前から乗り気じゃなく、「どうせ変な人しか来ないのよ」とか言ってたので、
「じゃあ、変な人が来たらいろいろ聞き出して、あとでオレに話してくださいよ」とリクエストしていたのです。




オレ「どうでした? 合コン」
同僚「もう、最低。変な人しかいなかった」
オレ「でも変な人、好きじゃないですか」
同僚「変な人はいたけど、おもしろい人はいなかったのよ!」
オレ「ああ。おもしろい人がいいんでしたっけ」
同僚「そうよ。板尾ぐらいおもしろい人が」
オレ「板尾はなぁ…(笑) ちょっとレベルが高すぎでしょ」
同僚「ダメ。板尾ぐらいおもしろくないと、一緒にいてつまらない」


オレ「参加者みんな30代?」
同僚「そう」
オレ「変な人って、どんな人たちだったんですか?」
同僚「説教ばかりしてくるおっさんとか」
オレ「ああ、いるいる。女の人に説教するの好きな男っていますよね。…人のこと言えないけど」
同僚「最近、お茶をはじめたらしく、その作法とかばっかしゃべる人とか」
オレ「そりゃまた古風な趣味だな」
同僚「自分からは話さないで、話しかけると、『ああ、はい』しか言わない人とか」
オレ「それは、まぁ、しょうがないんじゃない? 人見知りなんでしょ」
同僚「もう、なんていうか、コミュニケーション取れない人たち、ってのかな。変なんだわ」


オレ「でも、あなたも変な人ですよ」
同僚「そうよ。変な人よ。30代で合コンに来るような人なんて変な人なのよ」
オレ「言うねぇ」
同僚「いやいや、そう思う。
   ちゃんとした人たちは20代のうちに友達づてで知り合った人と付き合って、そのまま結婚するのよ。
   そして、そういう『一抜け』した人たちは合コン界からどんどんいなくなるのよ」
オレ「なんという人材不足」
同僚「30代なんて余り物だからね。残り物。私達を含めて
オレ「『達』入れないで欲しいけど、否定できない…。残り物というか、あぶれてしまった感がある」
同僚「結局他人とうまくやれなくて、残っちゃったわけよ」
オレ「なんかイヤっすね。参加者の年齢があがればあがるほど、合コンって余り物の集会みたくなるってことか」
同僚「しかもみんなプライド高いから、まとまることないし」


オレ「でも、思うんですけど、やっぱり恋人欲しくて合コン行くワケじゃないですか」
同僚「私は違うけどね」
オレ「知ってます(笑) で、『プライドが高いからうまくいかないんだ』とかマズいところに気づいていると思うんですよ
   なんでそれを直さないのかなーって」
同僚「そうねぇー。直す気がないというか、必要性を感じないというか」
オレ「…ん?」
同僚「30代で、恋人いない人ってね、私の感覚だとね、『自分の世界観』みたいなものがあるのよ。で、もうその中に生きているのよ」
オレ「その世界観を変える必要性がないってこと?」
同僚「ないというか、それがその人の常識で、それ以外の常識は、自分にとって必要ないと思えるというか」
オレ「こだわりが強いってこと?」
同僚「そう、なのかな。端から見ると。でも、本人は意地で守っているわけじゃなくて、あまりに当たり前すぎて、みたいな」
オレ「うーん」


オレ「あ、わかった気がする」
同僚「マジで? こんな言い方なのに?」
オレ「例えばオレは日本人だから、日本の女性と付き合いたいなって思って恋人を探すじゃん?」
同僚「うん」
オレ「でも、モテない」
同僚「モテないねぇ」
オレ「うるさい(笑) 
   で、恋人ができなかったとしても、『ああそっか日本で探すからダメなんだ。アメリカで探さないと』とはならないじゃん?」
同僚「ならないね」
オレ「自分にとって日本で生きていることは当たり前の常識で、そこの環境にいる人を探そうとするものだ、ってこと?」
同僚「そうそうそう。そんな感じ」
オレ「イタリア人は出会ってすぐに口説くらしいよー、って聞いても、『ふーん。それは外国の話だし』みたいな感じ」
同僚「そう。それを聞いても、じゃあ明日から口説くようにしようとは思わないでしょ」
オレ「だって自分が生きている世界は日本だしな。海外に引っ越す気もないし」
同僚「こうした方がいいって言っても、私は違うってなる」
オレ「端から見るとプライドが高いだけに見えるんだけどね」
同僚「本人にとっては自分の世界とは違う価値観なだけなんだよ。なんか遠い世界の話に聞こえるような」


オレ「30代になると、そうやって固まっちゃうものなんですかね」
同僚「固まる。てか、あとは『ここまで来たんだから、もう自分に合わないもので妥協したくない』みたいな思いもあるから」
オレ「じゃあ、説教好きの彼は、説教を聞いてくれる女の人を求め続けるわけだ」
同僚「そんな人いないのにねぇ」
オレ「うわー…。ああー、でも、オレも固まり出してるかもしれない。自分の世界に合う人がいいなって」
同僚「どんな子が好きなんだっけ?」
オレ「土日にタル木*1を買ってきて、平台*2とか組んじゃう子。
   3立て*3作ってペンキ塗って、『キレイに塗れた!』って喜ぶような子」
同僚「出たな、演劇あがり」
オレ「この時期はペンキが乾かなくて辛いんだ、ホント。
   あと、オーバーオールや作業着が似合う子がいいな。Myガチ袋*4持ってるとか」
同僚「いねーよ、そんなやつ」
オレ「そういう自分はどういう人がいいんだよ」
同僚「板尾創路ぐらいおもしろい人」
オレ「だから板尾は。異常過ぎだしなぁ。…徳井あたりで妥協したら? 格好いいし」
同僚「板尾よりつまらないやつに用はありません」
オレ「そっちの方が、そんな奴いねーよ、だよ」
同僚「だから、私は変人なんだよ」
オレ「なっとく」
同僚「達は、だからね。私達は」
オレ「はいはい」

*1:3cm×4cm×400cmぐらいの木材。大道具の材料になる

*2:舞台の足場となる高さ60cmぐらいの台

*3:ベニヤ板3枚分のパネル。5m×2mぐらいの大きなサイズになる。そこに色を塗って舞台の背景美術にする

*4:大工さんが腰から下げている工具が入っている袋