10月10日、ニコニコ動画が「メディア」を目指すと決意した日

ひろゆき氏「ユーザーも権利者もニコニコに」 新ニコ動の“企み” (1/2) - ITmedia NEWS
ニコニコ動画が「RC2」にバージョンアップ、投稿者専用機能など追加


仕事そっちのけでRC2発表会行ってました。
「うおー、生ひろゆきだ、生dan kogaiだ、生id:shi3izuだ!」と別のことで浮かれていたのは内緒の話。


ニコスクリプトや、NGコメントなどが話題になっているRC2ですが、
いやいや、そんなことよりこっちの方がすげえんじゃねぇの?と感じたこと。
発表会を見てて、
ニコニコ動画は単なるWebサービスではなく、1つのメディアとして地位を築くことを目指しているんだな」と思ったのです。


いっつも直感から入るタイプなので、がんばって理屈をこじつける。

ひろゆきは「ネット上に生活の場所を作る」と言った

ニコンドライフというネーミングはさておき、目指しているのはそこなのでしたよ。
仮想世界ゲームの話を持ち出してしまうと、引きこもってそればっかりやっているようなイメージになるけど、そうではなくて、
例えば、家に帰れば自然とテレビをつける、
車を運転すれば何となくラジオをかける、
朝は新聞を読む、
なんかそういうメディアの1つとして、
自然と「ニコニコ動画に行く」というのが生活に組み込まれる存在、そういうのを目指しているんだなー、と。


 ※メディアといってもニュースを伝える的な方向性じゃなくて、
  エンターテイメントとしてというか、娯楽メディアとしてというか、そんな意味です。
  どちらかというと映画や、バラエティ番組みたいなもののイメージ。


すでにニコホリック(ニコニコ中毒)になっている人には「それ、当たり前でね?」なことですが、
それをもっと多くの人に広め、しかも受け入れられる存在へ、ってこと。

Webサービスではなくメディアへ

そう感じた理由を考えてみる。


まず1つ目に、
著作権問題について中の人たちは真剣に考えているのだ、という点。
よく考えれば当たり前のことですが、著作権問題はニコニコ動画にとって避けて通れない問題なわけです。
だから運営は逃げ回ったりごまかしたりすることなく、真正面からこの問題と向き合っている。
きっと自分たちが想像する以上に。


個人的に著作権違反とは(だいぶ乱暴に言うなら)、
「権利者が権利を侵害されたと感じたかどうか」がポイントだと思っています。
その基準は個人ごとに違うし、権利なんて複雑に絡み合っているので統一基準では対応できない。
だから個別対応するしかないと思う(で、ニコニコはそれをやっているらしいし、ツールまで提供している)。


また、著作権問題自体、ここ数年でずいぶんほころびが出てきているわけで、
ぼちぼち発展形を考える時期に来ていると思うんです。
だから、単に守る、というだけでなく、
その上で誰にとってもいいやり方はないかを模索するべきだし、ニコニコ動画もそれを模索している。


結果的に
ニコニコ動画の可能性を感じて、協賛しようという企業もたくさん出てきた。
吉本興業が入ってきたのは大きいんじゃないかな? 個人的にはランティスに吹いた。


今までは一般人のお祭り会場でしかなかったニコニコ動画だけど、
アングラメディアが表舞台に立つためには、やはり企業の参入が必要だと思ってます。
始まったばかりとはいえ、着実に地固めが進んでいることに、
「これは単なる動画サイトに終わらないんじゃないか」と思いました。




2つ目は台湾進出。
国内だけでなく海外も視野に入れている。
ワールドワイドに大きな市場があって、ちゃんとそれを考えているという点で、
将来性を感じまくったのです。




最後に国際ニコニコ映画祭と編集ツールの提供。
どちらもパクりだけれど、エンターテイメントメディアである以上、作品(コンテンツ)が必要になる。
テレビ局であれば制作会社に委託して自前で供給しているが、
ニコニコ動画はユーザーがその役割を担っている。
だから「投稿してくれるユーザー」を大事にして、盛り上げていかなくちゃいけない。


運営側もニコニコ動画の特徴は
・さまざまなクリエイターが参入してきていること(海外からも!)
・それらの作品が相乗効果を生んでいること
・結果、新しい文化が生まれつつあること
であることを理解しているようでした。
その辺を見間違えてないことと、クリエイターのための方策を考えている点で「わかってんじゃん」と思ったのです。

小さくまとまる気のない糞運営

そして何より大事なのは、彼らが小さくまとまる気がないってことじゃないかと。
ブログサービスプロバイダーが人気ブログを書籍化して稼いだり、
SNSが広告を貼りまくり、アバターで小銭を使わせて儲けたりと、
ニコニコ動画規模のWebサイトになれば、ビジネス化をすすめて、ある程度利益を生む装置にできると思うんです。


でも、
ひろゆきが「既存のサービスと同じことをしない」と言い切ったり、
「国際」「映画」なんてつけたコンテスト開いちゃったり(まあ、ノリでつけたんだろうけど)
ネットを支配するだの、ネットで第2の生活をするだの、赤字なんて来年どうにかするだの聞いていると、
「ああ、こいつらは単なるWebサービスで終わらせる気はないんだな」と感じたのです。


たぶん、自分の中で「メディア」というのは
すごく一般的で、多くの人が利用しているもの、というイメージがあるので、
発表会で発表されることや、その姿勢を見ていて
「新しいメディアになれるんじゃないかなー」と感じたんだと思います。

ネットは長いこと、「ネットならでは」のメディアになれなかった

考えてみると「ネットは新しいメディアだ」と言われつつも、
「ネットならでは」というものが無かったような気がします。


確かにニュースはすぐ読めるし、欲しい物もすぐ買えます。
でもそれって、NHKジャパネットたかたがやってきた、「どっかで見てきたこと」だと思うんです。
「速報性」「集積性」はネットの特性でありつつも、
新聞→テレビ→ネットと来た、まっとうな進化なだけじゃなかろうか、と。


エンターテイメント面で考えると、
例えば、2ちゃんねるまとめサイトを読んで大笑いすることもあるけれど、それは本で代用することも可能だし、
メールやチャットのバカ話も電話の延長線上な気がする。


ということでネットは、
「既存メディアのサブメディア」という位置づけでしかなかった。


ところが、ニコニコ動画をネット以外の何かで代替するのは難しい。
強いて言えばライブ会場や、友達と一緒にテレビを見ている感覚に近い。
でも、その感覚を万人に向けた「メディア化」を
ようやくニコニコ動画が「ネットならでは」の方法でやってくれるんじゃないかな、と実感できたのでした。




それにしても「とかちつくちて」や「遺影」で騒いでたときから半年足らず。
糞運営と言われながらもこれだけの仕組みを光速で作った運営には脱帽です。


とまあ、持ち上げるだけ持ち上げてみたけど、
いまだにRC2にログインしていないという、デレツンぶり。