僕がプログラマーを応援したがるわけ

ひとつ、昔話でも。


やたらプログラマーを応援したがるエントリーを書いたり、
ときどきプログラミングの話題を書いたりする関係で、
「SEの人なんだ」と思われたりするんですけど、SEではないんですよ。
まぎらわしくてごめんなさい。


でも、昔はSEでした。
3年間、割と大きな会社でJavaプログラマーやってました。
まあ、この際、「SEとプログラマーは違う」なんて話題は目をつむってくださいな。


デキル人になりたくて、土日もよく勉強してました。
資格の勉強をしたり、自宅でプログラミングばかりしてました。
まあ、友達いなかったんでね、それぐらいしかやることなかったってのもあるんだけどさ。


当時、自分のいた会社では、
請け負う案件をCOBOLなどのレガシーシステムから、Javaを使ったオープンシステムに移行し始めてました。
社内でCOBOLを知っている人は多数いたけど(あとVB)、Javaを知っている人は少なかったので、
新人研修でみっちりJavaを勉強させられた新人の自分たちが、
たぶん、もっともJavaの知識を知っている人だったりしました。


そんな状況の中で、しかも週末まで勉強していた自分だったので、
2年目の終わりぐらいには10名程度のプロジェクトチームで技術リーダーみたいなのになってました。
コアモジュールや、フレームワークを作ったり、Eclipseプラグインなんかも書いてました。
今はもう、忘れてしまって書けないですけどね。

3年目の終わりに

自分なりの地位を確立できたおかげで、仕事はそんなに苦じゃなかったです。
運の良いことに残業ばかりのプロジェクトでもなかったし、
ちゃんと暮らしていけるだけのお金ももらえてました。
人間関係も決して悪くはなかったと思う。よく先輩と安居酒屋に行ったりしてました。


ただ、SEの仕事は好きだったけど、満たされないものがあって。
「このまま終わりたくない」とか、「組織の歯車じゃなくて、自分の力を試したい」とか、
まぁ、3年目にもなれば誰もが思うようなことを思っていたんです。


会社は大きすぎて、プロジェクトに貢献はできても、会社の役に立っている気がしない。
技術のことを熱く語り合いたくても、
(上から目線に聞こえるかもしれませんが)自分と同じレベルまで来てくれる人が身近にいない。
会社の上司はいい人達だけど、10年後同じ仕事を自分がするとしたら、その自分に納得できない気がする。
そんな漠然とした、もどかしい気持ちを抱える毎日でした。


ちょうどその頃、父親が投薬の関係でうつ病になって。
看病していた母親も連れうつみたくなって。
実家暮らしだった自分から見て、「あー、この状況はやべえなぁ…」という感じだったんです。
じんわりと家族が崩れていくようでした。


「たぶん、潮時なんだろなー」と思ってました。きっといいタイミングなんだろうと。
家族のこともありましたが、自分自身もいろいろ試したいことがあったので、
いい機会だということで会社を辞めることにしました。
「若者は3年目で辞める」を地でいくような感じになっちゃいましたが。

でまぁ、いろいろあって。

今に至るんですけどね。さすらってた時期はちょっと割愛。


再び社会に戻ろうと再就職活動を始めたとき、「さあ、どうしようか」と考えて。
前の会社から「戻ってこい」と言われていたし、
SE需要が高かった時期なので、名の知れた会社に行って、さらに上のキャリアを目指すこともできたんですが、
どうせならSEじゃない仕事をしようと思ってました。せっかくだから。


どういう仕事をしようかと考えていたときに、思い出していたのはSEをやっていて一番楽しかったことでした。
変な話かもしれないけれど、SEとして働いているとき一番楽しかったのは、
「みんなの作業が楽になるツール」をプログラミングしているときでした。
他では、大きなプロジェクトのときは、毎月協力会社の方が新たにやってくるのですが、
技術担当として、その人のフォローやレクチャーをしているときが楽しかった。
あー、マニュアル作るの好きだったなぁ。そのこと言ったら同僚に変な顔されたけど。


たぶん、人の役に立ってる、って感じたいんだと思う。
特に、一緒に仕事している人に対して。
極端に言うと、お客さんよりも、一緒に働いている人のために力になりたくて。
自分の実力はそこに使いたい。
で、いつかは「一緒のプロジェクトの人だけでなく、IT業界で働く人全体に向けて役に立てる仕事」をできたらな、なんて思ってた。
ちょっと変わってるかもしんないですね。

可能性を知ってさえすれば、諦めなかったかもしれないのに

SEとして働いているとき、気持ちが折れて辞めていく人がたくさんいました。
本当はプログラミングが好きだったけど、自分みたく一緒に語れる人を見つけられなかったり、
日々続くテスト作業に閉塞感を感じたり、
オタクに見られるのがイヤだって言ってた人もいたなぁ。そんなこともないのに、そんなこともあるんだろうな。


あんまり好きじゃないのに業界に来た人はさておき、
本当は好きだったのに、それが好きじゃなくなるってのは、やっぱり寂しいことだと思うんですよねぇ。
「それは好きじゃないってことだ」って言われるかもしれないけど、環境の力って偉大ですよ。
なんとかならんもんかなぁ、とか思ってたんです。


そんなことを思ってたときに、ひょんなことから、デブサミというイベントに行くことがありました。
そこで、id:amachangがセッションを行ってたんです。


もうねぇ、超カッコイイんですよ。マジで。
テラかっこよす。あれ、500人(ぐらいだっけ?)の人相手に、チャラい兄ちゃんがJavaScriptのすごさを語ってんの。
プレゼン資料もPowerPointかと思ったら、JavaScriptで作ってあるとか言うし、
マジやべぇ、かっこよすぎてやべぇ。涙出そう。JavaScript始まったな。日本のここから再始動したな。
ってぐらい感動したんですわ。



SEを辞めたことは後悔していないけど、この光景はSEをやっているときに見たかったなぁって、すごく思った。
もし、プログラミングが嫌いになりかけている人がこの光景を見たら、何かが変わるんじゃないかって思った。


今でこそ毎日のようにIT勉強会が行われているけど、それを知らない人もいるわけですよ。
はてなに技術の情報が集まりやすいって言うけれど、そのことを全く知らないエンジニアもいるわけですよ。
知ってはいるけど認知できてないとかね。
自分のいる業界に、いろんな自分のあり方があるんだってわかりさえすれば、
今の自分の仕事を好きになれる人も多いと思うのになーって、すごくすごく思うんです。

ある1つのアプローチ

ま、そんな思いもひっくるめて。
あまりブログでは書かないけれど、なんだかんだでIT業界に近い場所で仕事してます。こっそりとね(笑)
それはそれで一生懸命やってるけど、まぁ、思うようにはいかないものです。
急に何かをどうこうできるとは思ってないけどさ。


ただ、少しずつ力をためて、今すぐじゃないにしても10年後、20年後、
「ここぞ」というときに、IT業界で働く人の、何かの力になれたらなって思うのです。
業界離れたクセに、こういうことを思うのって、なんかおこがましいとは思うんだけど、外からできることもあるし、
これが、自分だからできる、自分なりのアプローチだと思うので。




なんとなく書きたくなったので、書いてみた。
SEがんばれ、マジ、がんばれ。
なかなか日の目を見ないけど、人の役に立つ、大事な仕事だと思うんよ。