はてなブックマークのコメント一覧非表示機能について、ブックマークされる側より。





はてなが、はてなブックマークのコメント一覧非表示機能をつけました。

個人的にはブログ主がコメント欄を閉じたり、トラバを受け付けない設定をするのと同じように、
選択肢の1つとしてあってもいいと思うんですが、
反応を見ると、意外と「えーー、そういうことするのー?」な意見が多いんだなぁと思いました。



確かに、
「コメント欄は本人のサイト内だけど、はてブコメント欄は、はてなのものだから意味合いが違う」という、
ドメインが違うから、本人の制御範囲外だ」といった見方はあるし、その通りだと思います。


しかし、そのコメント自体がはてなのサービス上で成り立っているわけで、
今回の機能追加は、「インターネットをよりよくしていく」という、はてなのスタンスからきた、
「誰かにとって望まないサービスは提供しない」という結論なのかなーと思ったりします。
(ここでの「誰か」は主にブログ主のことです)


さて。
上記のコメント欄では、割と「ブックマークする側」の意見が多いように思えるので、
ここからは「ブックマークされる側」の立場で考えてみたいと思います。

コメントするのが好きな人がいるように、コメントされるのが好きじゃない人もいる

ブクマコメント欄が閉じられたことで、
「議論ができなくなる」「自分の意見が主張できなくなる」と言われる方もいるのですが、
そもそも、自分のエントリーで議論されたくない人もいれば、
他人の主張なんかいらないと思う人もいるわけです。


そんな人つかまえて、
「いや、議論させろ」「いや、オレの意見を言わせろ」
「いや、皮肉を言わせろ」「いや、何か言わせろ」と言いたいところがあるかもしれないけど、
うーん、どうなんすかねぇ…。個人的には、放っとけばいいと思うんですけどねぇ。
何も、土俵にあがりたくない人を無理矢理土俵にあげて、いろいろ言うこともないと思うのです。


「違うんだ、私は善意で言っているんだ」「共感のコメントなんだ」というにしても、
残念だけど、それをどう感じるかはブログ主次第だし、
そういった善意のコメントを含めても、
ブログコメント欄で何だかんだ言われるのが嫌だから閉じたいという場合もあると思います。


「つーか、100文字程度の意見でへこむなんてどんだけー」という意見もありますが、
ブログ主側から見ると事情が違ってて、例えば300人にブックマークされたエントリーの場合、
ブログ主が受け取るのは100文字ではなく、「100文字×300人」なわけですよ。
人によってはしんどいものがあると思う。


また、
「インターネットとはオープンなもので、アップしたものは全世界に晒されるのだ」という意見もあります。
ただ、それは「たまたま、今までそうであった」だけで、
今後もそうでなくてはいけないか、というと、必ずしもそうではないと思う。


今のようにライトユーザーがたくさん流入している状況では、
そういう人に今までのルールを押しつけるだけでなく、
「さまざまな立場の人が望むインターネット」を提供しながら共生を図るのも、必要なことだと思うのです。

意見は言えているし、代替手段もある

今回の機能追加で一覧が閉じられる可能性が出ましたが、
だからといって、意見が言えなくなったわけではありません。
例えば、自分がブックマークでコメントしたことは、自分のブックマーク欄で見ること(見てもらうこと)ができる。
今まで通り意見は表明できていると思うんです。


もっと強く発言したいというなら、自分のブログに書けばいいと思うし、
手軽にやりたいと言うなら、Twitterでも、Wassrでも、はてなハイクでもいいと思うし、
いやいや、ソーシャルブックマーク上で言いたいんだ、というなら、
livedoorクリップでも、deliciousでも、Yahoo!ブックマークでも、他の手段を使えばよろし。
2ちゃんねるだってあるしと、代替手段はたくさんあります。

傍観者の利益と、ブログ主の利益。そしてはてなの利益。

しかし、そういう代替手段があったとしても、なんだかもやもや感が残るのは、
おそらく「簡単に」「自分の意見を」「多くの人に見てもらえる」という、はてなブックマークのメリットから、
「ブログにエントリーを起こすのとワケが違うんだ、ブックマークコメント一覧がよかったんだ」
という思いがあるんだと思います。


さらに、「コメントをする」というよりは「見る」傍観者タイプの人にとっても、
「このエントリー、他の人はどう思っているんだろう」といったことを知りたい場合は不便になります。
あるいは「他の誰がブックマークしているんだろう」ということを知りたい場合も不便になります。


そういった掲示板的コミュニケーションが、はてなブックマークの魅力の1つではあるのですが、
はてなブックマークが「元サイトをブックマークして、はじめて成り立つ」サービスであることを考えると、
サービスが、コンテンツを生み出してくれる人に嫌われるわけにはいかないと思うのです。
ゆえに、傍観者の利益よりもブログ主の利益の方が優先されるんじゃないかと。
という意味で正しい(というか必要な)選択だったんじゃないかなぁと思います。

求めていた人にとって、できなかったことができるようになった

もっとも、この機能がすぐに使われ始めるかというと、そんなこともないと思うんですけどね。
指摘があるとおり、metaタグを使うということで少し手間がかかる点や、
すでにブックマークされてしまったページはできないとか、
敷居の高さやメリットの小ささもあります。


ただ、「今までできなかったことができるようになった」というのは大きい。
ブックマークコメント上でいろいろ言われるのが嫌だった人にしてみれば、
スパムコメントが嫌でコメントを閉じたとか、
トラックバックスパムが嫌でトラバを閉じたとか、
いろんな人に見られるのが嫌だからmixiの公開範囲を友達までにしたとか、


そういったときに感じた安心感を、
はてなブックマークに対しても得られる1つの選択肢ができたということ、
そして、ソーシャルブックマークサービスのメジャーサイトである、はてなが行ったということを、
素直に評価してもよいのではないでしょうか。




●参考

確かに最近、ちょっと殺伐としていると思う。