イケメンが番号聞いてた。勝ち目はなかった。でも自分も番号聞いた。







友達に誘われたり、ネットでの付き合いを通じてイベントに行くことができるようになりました。
要は飲み会なんだけど合コンってほどプライベートな感じじゃなく、イベントって言うのが近い気がする。
参加者もそれなりの人数いたりするので。


行ってみて初めて知るんですが、参加する人の思惑は人それぞれで、
楽しく飲みたい人がいたり、
人脈を広げたいという人がいたり、
もちろん、女の子と知り合いたいって人がいたりします。


うぃ。やっぱり自分もそこは「参加する以上は!」って思うのですが。


ところがまず、女の子に話しかけるっていう時点で、
すんげえーーーーーーー関門なわけですよ。
その前に隣(いや、むしろ近くに)に座れるかどうかって問題もあるんだけどさ。


でまあ、なんとか話しかけることができて、お酒の勢いも手伝って、
それなりに盛り上がることができて、
でも内心すごい必死で、
だけど相手の話を聞いているうちに「ああ、この人は感じのいい、いい人だな」なんてわかって、
もっと話したいというのに他の人がテーブルにやってきて、話題が変わって、
気づいたら彼女も別の席に移動してて。


そんなことやってるうちに、会はお開きの時間となり、
みんな身支度して、お店を出て行きます。


するとさ、やっぱり連絡先を知りたいじゃん。彼女の番号とかメアドとか。
なんとか仲良くなりてぇって思うじゃん。
このチャンスを逃したくない、よし、聞くぞ!って突撃するわけですよ。




でも情けない話、彼女に近づいた瞬間、足がすくむというか、
ふっと我に返ってしまい、ものすごくいろんな考えが巡り、後悔で頭がいっぱいになってしまうんです。


一番思うのは「オレなんかが番号聞いて、イヤじゃないだろうか」ってこと。
同時に「この数時間の間に、彼女の中での評価をもっと上げれば良かった」って後悔し始める。
自分の話ばかりせずに、彼女の話を聞けばよかった、とか。
逆に、数人で話しているときに自分は相づちを打つだけだった。もっとアピールすればよかった、とか。


もっと楽しい話題を考えればよかった。
もっと笑わせられたかもしれない。
もっと目を見て話せばよかった。
いや、むしろ良く思われようと思って、なんだかいやらしい行動取ってたような気もする。
というか、もっとオシャレなカッコしてくればよかった。
といってもオシャレなんてさっぱりわからないから、もっと普段から勉強しておけばよかった。
髪型も、もっとちゃんとセットしてくればよかった。
あー、もう少しやせてた方が良かったのかな。


とかとかとか。
「番号聞いてもいい?」の声が、どうしてもどうしても出せなくて。
自分の思いとは裏腹に、まわりの解散ムードはものすごいスピードで進行していきます。




そんなんで立ち往生しているときに、
これまたイケメンが「番号教えてくれる?」とか言って、
連絡先聞くのを目撃しちゃったりするわけですよ。


そういうのを見ると、追い打ちのように落ち込んでさ。
別にイケメンかどうかは関係なくて、「他の男の人」が聞いているのを見ると、もう全然勝てる気がしなくなって、
ああ、彼は優しそうだなとか、
彼女にアタックしようってことは、この人と争うことになるのか、
そりゃ、こんだけ性格いい子なんだから、狙っている人の1人や100人いるよな、って、
自分がどれだけ高い壁に挑もうとしてたのか、はたと気づかされるんです。


同時に、それに比べて自分にはホント、ホントなんもないなぁって思い知らされる。
普段、いろんな理屈や考え方を偉そうに並べてたところで、いざってときには何も役に立たねぇ、
オレはそういう理屈並べて自分をごまかしてるだけなんだろなぁ、とか、
どんどん自分が丸裸になっていくような気がして。


しまいにはやっぱり聞くのやめようかな、なんて思いがよぎったりします。
逃げたい。もう逃げてしまいたい。こんなのできない。
ボロボロとメッキがはがれていく自分に自信をなくして。
すごい身の程知らずなことをしようとしている自分に気づいて落ち込んで。
いやがられることが、とにかく怖くて。




でもね。
以前、「気が進まないことはやるもんじゃないよな」って思って、番号聞く直前で引き返したことがあるんです。
その後、家に帰ってものすごく後悔した。
ダメもとで聞いておけばよかった。
万が一うまくいくこともあったのかもしれないのに、自分から可能性つぶしてどうするんだって。


勇気を出すときに、たくさん言い訳をするクセがついているのかもしれません。
「これがダメでも、この緊張を乗り越えた経験は、きっと将来役に立つ」なんて自分に言い聞かせ、
虚勢張って、なるべく笑顔作って、
声が裏返らないようにして、周りの視線をがんばって無視して、
女友達と話してた彼女がひとりになった瞬間を「今だ!」って近づいて。


なんかもう、かっこわる(笑)
たかだか番号聞くだけなのにね。


でも、大げさかもしれないけどあの緊張感だけは本気でしんどい。やらずに済ましたい。将来の役になんて立ちゃしない。
小さいときからケータイ持ってたイマドキの高校生なんて、きっともっとスマートに聞くんだろうに。


なんとかイベントに行けるようになれて、なんとか隣に座れるようになれて、なんとか話せるようになれて、なんとか番号聞けて、
いったいいくつ壁を越えればいいんだろう。
帰りの電車の中、なるべく早く「今日はありがとう」メールを送りたくて、
酔った頭をフル回転させながら文面考えて、何度も見直してからメールしました。


翌日の夜遅くになって返事が来た。
次、がんばろって思った。